ROUND3 in FUJI

D1グランプリ第3戦、静岡県富士スピードウェイの逆走コース。
高速進入を要求される300Rからヘアピンへのアプローチコーナー、車体を振り返すと目前に迫るヘアピンを削り取り、なだらかに傾く100Rへと連なるレイアウトは昨シーズン同様だが、今回は雨。豪雨。
ハイスピードバトル必至のFUJIに雨。
マシンのポテンシャルとテクニック、そして天候を見方に迎える「運」までもが必要とされるレースになりそうだ。
シード9台と、予選75台を勝ち抜いた21台、計30台が1回戦に臨む。
COURSE POINT - ポイント
D1開催コース中、最も高速と言われる富士スピードウェイ。300Rをかっ飛ぶシルエットが観衆を魅了するこのコースだが、ポイントはやはりヘアピン進入のライン取りと速度。 そして神様の悪戯か、このアプローチコーナーには降り続く雨が川をつくり、スリッピーなコンディションまで演出されている。 テールの振り方を誤るとヘアピンに辿り着くことさえできず、そしてまた、進入をセーブしてしまうとヘアピン出口には届かない。 一見、シンプルなレイアウトのコースだが、雨のFUJI、ドライバーズシートからは悲鳴が聞こえそうだ。
THE DRIVER - 注目選手
前回のSUGOでは不参戦だった松田豊久選手、今シーズンはマシンを乗り換えてこのFUJIから参戦することとなった。車種は同じAE86だが、ゴールドのカラーリングで一新。ベテランの走りに期待したい。

予選経過
GOODYEAR勢、サポートマシン9台が全車出陣の第3戦FUJI。
止まない雨は小降りと土砂降りを繰り返し、出走ごとにコンディションが変わる有り様。
3本の予選走行、早い段階で結果を残したい各車に焦りが見える。
無難な走りで98.5点程度は確保したいが、当確ラインは99点台という審査員のコメント。
安全面への配慮から助走区間が短縮されたことでトップスピードは抑えられると思われたが、そこはD1マシン、無謀とも思えるパフォーマンスを魅せた。

時田選手の予選1本目、アプローチコーナーでスピン。2本目は、足下を恐れてかヘアピン進入に勢いを欠き失速。3本目。このころからコース上を霧が覆い、魅せる走りに至らず終了。
手塚選手もまた、時田選手と同じ場所でスピン。コースアウトしてしまった。エンジン不調を抱え、2本目、3本目も速度が乗らず弧を描けない。セッティングが出ないのか乗りきれていない印象。
高橋選手、さらに同じくアプローチコーナーでの振り返し、マシンの挙動を押さえきれずヘアピンのラインを確保できない。2本目、121kmで300Rを立ち上がったものの、重量級4ドアJZX100を押さえ込むには厳しすぎる路面状況。ライントレースにバリサイを余儀なくされた。3本目、2本目にも増して速度を乗せてきた高橋選手だったが、ヘアピン進入のブレーキング以降勢いに乗れず、ラインが小さくなってしまった。
戸ヶ崎選手、アンダーパワーのAE86に鞭を入れ、300Rを128kmでの進入を見せるもヘアピンのライン取りが小さく収まってしまう。2本目、3本目も精彩を欠き、本来の走りに至らず。



前回のSUGOで安定した走りを魅せた小師選手はFUJIでも好調を維持。
依然、霧が燻るコース上、早めに結果を残したい1本目。勢いを付け過ぎたマシンはヘアピンのアウトライン、縁石を乗り越え、重く雨を含んだ土を跳ね上げてしまった。
意地の2本目、独特のサウンドを響かせヘアピンまでを絶妙にトレース。出口のクリップを外してしまったが、それでも高得点の期待できる走りを披露。3本目もヘアピンのクリップをやや外してしまったが、この天候下、十分といえる。
村山選手、スピードを制御しきれないまま突入したヘアピンでスピン。2本目、300Rを131kmで疾走したが、ヘアピンではスムーズなアールをとれず失速。3本目もフロントが流れ、雨のFUJI、苦戦を強いられた。
中澤選手、スピードは十分の131kmをマークするが、ラインが小さい。激しさを増した雨の中、思うラインに寄せきれない。歯痒い結果となった。
星野選手、今回はセッティングに苦しんだのかマシンの挙動が安定せず、スピン、コースアウトを繰り返してしまった。
松田選手。Dグループは濃霧の中、スタート地点から300Rが見えない状況。ニューマシンで臨んだ1本目、視界不良と路面不良に喘いだ。2本目、ヘアピンをアウトライン一杯に取り、このコンディションをテクニックでねじ伏せた。
結果、小師選手の9位、松田選手の15位通過と、2台のハチロクが駒を進めた。
1回戦 単走
翌る朝、降り続く雨はやや小降りになったものの相変わらずの天気。
この状況にもかかわらず、タフなギャラリーで客席は埋め尽くされた。
結局、満足な練習走行もできないまま、それでも1回戦の火蓋は切って落とされた。

GY勢トップバッターは小師選手。昨日とは見紛うほどのダイナミックな走りで観客を魅了。鋭い角度と一杯のライン、小柄なハチロクを怪物に仕立て、FUJIのコースを狭くさえ感じさせた。当然の100点。
1回戦途中からは雨も上がり、いつもの能力を取り戻す選手、路面コンディションの変化に順応できない選手の明暗が分かれた。ノーポイントに終わる選手が続出する反面、100点を叩き出した選手が9名という、まさに0か100かのON-OFFバトル。
いよいよ松田選手の1本目。鮮やかなライントレースで300Rからヘアピン進入へと攻めのドライビング、一筆書きの如く駆け抜ける。が、ヘアピン出口、踏み込んだアクセルに過敏な反応を示したマシンはスピンしてしまった。2本目は無難に走り終えたが、ラインは小さく高得点を望むには厳しい。あとがなくなった3本目、急激な路面の乾きに足を取られ、またしてもヘアピンで無念のスピン。




結果、100点を連発した小師選手は、ベスト16への1位進出を果たした。

追走トーナメント
追走1回戦、1組目登場の小師選手(AE86)はZ33を駆る今村陽一選手と対峙することになった。

単走以降、セミ・ウェットへと復元を始めた路面はマシンパワーを受け止めだした。こうなると苦戦を強いられるAE86。
1本目、先行の小師選手。コースを一杯に縁取る芸術的な走りは観客を十分に愉しませ、そして今村選手の自由を奪うことに大きく貢献した。
しかしながら、600psを擁するZ33を存分に回し、300R進入時点で直近に迫る今村選手はAE86を突き上げんばかりに貼り付き、ヘアピン出口では、遂にサイド・バイ・サイド。

続く2本目、後追いの小師選手はさすがに絶対速度が届かず、その差を詰め切れないまま敗退。
トーナメント決勝は、今期2勝目を狙う風間靖幸選手(S15)と、予選から他車の追随を許さない走りを披露していた植尾勝浩選手(AE86)の好カード。
1本目にアドバンテージを奪取した植尾選手だったが、不運にもここでエンジンブロー。高速コースに辛いマシンのポテンシャルを、まさに限界まで使い切った「完全燃焼」の決勝戦だった。
REPORT: Noboru Hirano

