ROUND8 IN USA
第8戦の舞台は、カリフォルニア州アーウィンデール・スピードウェイ。D1グランプリではおなじみのサーキットだが最終戦は今回が初開催。チャンピオン争いも最終戦にまで持ち込まれる大混戦となった2006年ラウンド、果たして最後に栄冠を手にするのは誰か、どんなドラマが待ち受けているのか。

COURSE POINT - ポイント
審査コースは開幕戦とは逆周りである時計回りで行われた。
コースレイアウトは開幕戦の左右対称のレイアウトを想像いただければよい、審査コーナーはおなじみオーバルコースをドリフトで駆け上がりストレートを介してインフィールド内ヘアピンへ進入、ヘアピン立ち上がりからS字までとなる。
意外にグリップするストレートに対し、比較的グリップしないオーバルトラック。さらにオーバルトラックでは、センターラインをはさみ下段の車線のグリップがさらに低いなど、ライン取りにより状況が異なるコースに選手たちも戸惑いを隠せない。また、終始めまぐるしく変化する天候の中、ヘアピンアウト側に立ちはだかるコンクリートウォール。選手のコースへの適応力と並外れた勇気が試される大会となった。


THE DRIVER - 注目選手
今回GOODYEAR勢として参加したのは、前回の富士で見事準優勝に輝いた手塚強選手。今回はシードとして参戦。
日本では既にお馴染みの、レブリミッター作動時のバックファイヤー音。既にアメリカのD1ファンにも広く浸透している。ショットガンの発砲音!?に似ている事から「ショットガン手塚」のニックネームまで授けられているほどの人気だ。
練習走行時バンクへのドリフトを考慮して、タイヤ空気圧を3.5kgから4kgに変更。よりピーキーなコントロールが要求されるセッティングで勝負を賭けた。
今回のコースは右ハンドルのマシンには不利なコースとなる、終始走行中は壁が左側にある為に壁ギリギリのラインを狙うのが今までのコースに比べ遥かに困難を極める。
手塚選手自身、前日の練習走行では、手探りの状況だったが、決勝当日の練習走行時には、リアバンパーをヘアピンアウト側の壁にかすめるライン取りを連発。期待が持てる。
自身いわく「距離感は分かった。」と、まさに神業である。


予選経過
午前の練習走行終了後、雨のためコースは完全にウェットコンディション。
次第に雨はやみ、単走前の最後の練習走行30分間のなかで選手たちはセッティングを行った。練習走行終盤からは、タイヤスモークを出すマシンが見られるほどにコースは乾きつつあったが、まだセミウェット路面状態のまま単走が始まる。
1本目を99.95点の見事な走りで終えた手塚選手の2本目、バンク進入から豪快なタイヤスモークが上がる、コースに良く映えるイエローのマシンからおなじみの爆発音を轟かせバンクを疾走する姿に誰もが歓喜の声を上げた。バンク出口のパイロンを掠めるようにクリップをとると、クイックに振りっ返しインフィールドに進入、審査員席目掛けてマシンは想像を遥かに超えるスピードで進入。会場からは悲鳴にも似た歓声がこだまする。誰もが壁に激突するものだと息を呑んだ瞬間。マシンはまるで壁ギリギリに引かれたレールを走るように、コンクリートウォールのアールにそって進んでいく。大歓声の中、唯一冷静に精密機械のごとくラインをトレースしていくイエローのマシン。会場からは興奮状態のアナウンスが響く、「グッドライン」「グッドスモーク」「グッドスピード」。 結果は誰もが認める「100点」を獲得。
3本目、まるで再現映像を見ているかのような、寸分狂わぬラインと迫力、歓声のみが先ほどよりもさらに大きく聞こえる。 ヘアピンアウト側のコンクリートウォール沿いは、まさに「手塚ライン」とでも名づけたくなるような、大迫力で刺激的な走りを披露。もちろん結果は「100点満点」を獲得。
参加選手中唯一の2回連続100点でトップ通過を果たした。


追走トーナメント
追走トーナメント開始時、まだドライといってもいいくらいの路面コンディションだったが、雨が降りはじめ、しだいに路面が濡れていった。
追走最初の対戦に手塚選手が登場。
対戦相手は、アメリカ勢の強豪、昨年のオールスター戦の覇者、強烈な角度と豪快なタイヤスモークが信条のMUSTANG GTを駆るバン・ギットン選手。
1本目先行の手塚選手は、単走で見せた豪快な走りをここでも披露。迫力では自信のあるギットン選手も手塚選手のお株を奪うかのごとく凄まじい走りで追随した。
大迫力の追走が繰り広げられる中、若干両者の距離が開いたままヘアピンに進入。ヘアピンアウトへ若干はらみかけた手塚選手。その機会を待っていたかのごとくヒアピンのインに進入するギットン選手。両者ヘアピン立ち上がりのクリップへ猛烈に飛び込んだ。一瞬早く到達した手塚選手に対して、ギットン選手もあきらめずにそのままクリップへ強引に並びかける。インを刺されたその瞬間、ギットン選手の左フロントが手塚選手の右わき腹に接触、その反動で手塚選手はスピン。結果、ギットン選手のプッシングで手塚選手が10対0でアドバンテージを獲得。


入れ替わって有利な状況となった手塚選手。一瞬の気の緩みで逆転してしまうのがD1だが、緩むどころかノッテきたようだ。
MUSTANG GTを追うB324R、1本目で見せた豪快な両者の走りが再び展開されバンクを駆け上がる。1本目より両者の差は無くクリップを通過。ほとんど差が無く両者ヘアピンに進入、うまくマシンを抑えたギットン選手、ヘアピンイン側にそれほどスペースは無く絶妙なラインでヘアピン立ち上がりクリップへ入っていく。一方手塚選手もここしかないヘアピン侵入ポイントへよくマシンを押さえ、コーナーを旋回。手塚選手のコーナースピードがわずかにギットン選手を上回り、先行するMUSTANG GTテールに襲い掛かるものの完全にインをさせなかったため、結果は五分。
結果的には1本目の差が大きく響き、圧勝で2回戦へと駒を進めた。
2回戦、ここアーウィンデールをもっとも得意とする風間選手との対戦。路面はすっかりウェットコンディションになってしまった。コースレイアウト特性上、このようなウェット状態になると、車重の差が大きく影響する。さらに相手はこのコースをもっとも得意とする風間選手。一抹の不安はあるものの、今日の手塚選手は、前回の富士同様にノリノリである。好成績が期待できる。
1本目手塚選手先行、スタートと同時にビタビタに追ってくる風間選手。バンク進入センターライン下段を走る風間選手。ほぼ併走状態のままクリップ(CP1)へ進入。手塚選手ストレートで若干離すものの、ヘアピン進入時において角度と軽量のため風間選手がヘアピンインスペースへ突入。先行としてインを締めることができない手塚選手は、なんとかクリップ(CP2)へ先に到達するためマシンを押さえ込み旋回をこころみるも、風間選手のコーナースピードに届かずインを抑えられてしまう
7対3で風間選手にアドバンテージ

2本目手塚選手後追い、バンク進入から差を縮めようと果敢に攻める手塚選手。ウェット路面のため、思うようにスピードが上がらない。振りっ返しまでに距離がついてしまった。
ヘアピン進入、最後の攻め、ここしかない絶妙なポイントへ進入、風間選手のインに飛び込んだ瞬間、マフラーからバックファイヤーが・・・大きな歓声が上がる。あと一歩懐に入ることができれば、イーブンに持ち込めたかもしれない状況だった。

しかし、単走からはじまり、今大会観客を一番魅了したのは間違いなく手塚選手だった。残念ながら結果は7位に終わったが、前回の富士の準優勝を始め今シーズン総合ランキング9位と見事シード権を獲得した。来シーズンにあたり、とても期待が残せるシーズンになった。日本人だけでなく、世界のファンを魅了し続ける手塚選手に今後とも期待したい。
決勝は、田中選手と風間選手との対戦、アメリカ3連覇がかかる風間選手に対して気持ちで勝っていた田中選手が見事3年半ぶりの優勝を手にした。シリーズチャンピオンは僅差で熊久保選手が2006年シリーズチャンピオンに輝いた。
REPORT: Noboru Hirano
PHOTO: Kenji Ichi
WORLD ALL-STAR MATCH IN USA
第8戦の翌日、ワールドオールスター戦が開催。イギリス(UK)、マレーシア、ニュージーランド各国での2006年国内戦上位選手と日本、アメリカからの選抜選手が一堂に集まり、世界ナンバーワンドリフターを決定する。前日の雨模様とは打って変わり、晴天に恵まれた今大会。本来の迫力走行が期待される。観客も初の世界ナンバーワン決定戦とあって、いやがおうにもボルテージは高まる。何かまた新たなドラマが生まれそうな気配。


1回戦 単走
単走、手塚選手の登場、審査基準が前日と変更され、スピードよりも角度、迫力に審査基準が変更されたため、本来のハデハデ系走行が一段と意識した走りができるようになった。昨日路面状態が悪い中で、最高のパフォーマンスを見せただけに、ドライコンディションとなった今回の走りに、観客全員が大きな期待を膨らました。
単走スタート。1本目、バンク進入から強烈なタイヤスモークが上がる。すでにこの時点で、アメリカ勢、日本勢はほぼ走り終えていた中で、歓声が最高潮に達していた。綺麗なライン取りで1本目はクリア。
2本目、「1本目は壁まで届かなかったので2本目は進入スピードを上げてみた」という手塚選手、見た目にも1本目よりも明らかに高いスピードでヘアピンに進入してくる。次の瞬間、ヘアピンアウトのコンクリートウォールに左リアバンパーを激しくヒット、会場から驚きの歓声が上がる。しかし、強引にねじ伏せながらドリフトをつなげ、何事も無かったかのようにクリップを目指すB324R。観客は立ち上がり、歓声と拍手と足踏みをする音で会場が包み込まれる。アナウンスも走り終わった後もひたすら絶賛をやめない。間違いなく今大会最高のパフォーマンスを披露できた走りだった。
結果採点はもちろん「100点満点」を獲得。
更に3本目、2本目でヒットしたリアバンパーを引き吊りながら、今度は壁すれすれの絶妙なライン。最高のパフォーマンスを披露し、またも歓声で会場全体が包み込まれた。
貫禄の追走トーナメント進出。








追走トーナメント
追走トーナメント開始、コースはドライコンディション。
ベスト16一回戦。手塚選手はニュージーランド枠より選出されたショーン・ファルコナー選手との対戦。実力が未知数だが、好バトルに期待したい。
手塚選手先行で追走スタート。豪快なタイヤスモークとともにバンクを駆け上がる手塚選手。そのタイヤスモークを嫌がるかのように微妙にラインをずらして追走するショーン・ファルコナー選手。バンク出口からクリップ まで、角度・迫力ともに格の違いを見せ付けるかのような貫禄の走りを披露する手塚選手。振りっ返しからインフィールドに入ろうとした瞬間。2台のラインが大きく別々の弧を描いた。ヘアピンアウトのラインをとった手塚選手に対して、ヘアピンインベタのラインをとるショーン・ファルコナー選手。さらに高いコーナースピードで進入してきたため、アウトラインを取る手塚選手を左手に見ながら、なんとオーバーテイクをしてしまった。両者そのままヘアピン立ち上がりのクリップを目指す。必死にイン側に戻ろうとする手塚選手、対して無理なラインでヘアピンに進入していたショーン・ファルコナー選手。インを締めつつ、強引にクリップを取りにいったその瞬間、ショーン・ファルコナー選手がコントロールしきれずにスピン。後ろにいた手塚選手は、間一髪で接触を回避する。これで手塚選手に大きなアドバンテージ。


2本目、手塚選手追走でスタート。若干距離を保ちながらバンクに進入。バンク時センターライン上段のショーン・ファルコナー選手に対して。下段のラインを取る手塚選手。バンク出口からクリップに対して除々に差が詰まる2台。インフィールドのヘアピンに進入、ついに手塚選手がショーン・ファルコナー選手を追撃圏内に捕らえる。両者サイドバイサイドでヘアピンコーナーを旋回。そして、クリップへ。完全にショーン・ファルコナー選手を捕らえた手塚選手が貫禄の勝利で見事ベスト8に駒を進めた。


2回戦、相手は日本屈指のNA86乗りの植尾選手。ここまで、ターボ勢に対してヘアピンでライトウェイトの86が優位な戦いを展開していたこともあり、コースとの相性に多少の不安を覚えた。
コースは相変わらずドライコンディション。
1本目手塚選手先行でスタート。 バンク進入からドリフトに入る手塚選手に対して、NAの植尾選手はバンク出口からドリフト。振りっ返しからインフィールドへ入るに従い、序々にハチロクが差を縮めながらヘアピン進入。完全に前を捉えたハチロク、それを必死に振り切ろうとするB324R。必死に逃げようとするも完全にインを刺されてしまう。
植尾選手のアドバンテージで2本目へ。

2本目手塚選手追走、バンク進入からハチロクを逃せまいと超ベタベタに追走するB324R。両者接近したままインフィールドのヘアピンに進入。ほぼセンターライン上を旋回するハチロク、なんとかインに食い込みたいB324R。しかしタイヤ1本分及ばずラインがアウトへ流れる。それでもノーズを必死に入れようと試みる手塚選手。対してコーナースピードで上回るハチロクはヘアピン立ち上がりクリップを目指す。最後まで上尾選手のインに入り込もうとするものの捕らえきれないまま終了。
結果、惜しくも手塚選手はここで敗退。


決勝は末永選手と野村選手の九州対決、初の世界一決定戦とあって、サドンデスにまでもちこまれるも、経験が勝る野村選手が初の世界チャンピオンに輝いた。



