






マシンが停止状態から、400m先のゴールを目指して直線を走る。
僅か数秒で勝負が決まってしまう、単純明快なアメリカンモータースポーツ、それがドラッグレース。
「誰よりも速く走ること。」その限界を極めるべく、出場する多くのマシンが、大排気量・数千馬力の
モンスターエンジンを積み、空気の震撼する強烈なエンジン音を奏でながら直線を駆け抜けていく。
その一部始終をスタンドから見ることが出来るのがドラッグレースの人気の秘密。
☆DRAGの詳しいルールなどはBERCドラッグレースホームページを参照下さい。
いつだって真剣勝負?出走前のセッティング
他のレース同様、コース・環境条件に併せてセットアップ。エンジンを火入れする度に、アクセルを
オンオフ、オイルチェックやブレーキテストなど、様々な項目を点検。午前と午後、晴天と曇天、
湿度や温度など、大きくエンジンパフォーマンスが変わるため、常にチェックを欠かせない。
勝つために一生懸命やること。
それが結果として、来場者を喜ばせることにも
繋がっていると信じて、たった一瞬のため、
そしてその一瞬を最高のものとするために、ドライバー・メカニック・関係者
などチームが一団となって、走行前の準備を一切の妥協なしに行う。
迫力満点!バーンナウト!!
バーンナウトとは、タイヤを最適な温度まで温め、グリップを高めるために、
タイヤを空転させ続けること。ただ単にファンサービスのため、無尽蔵にケムリを
あげているのではない。スタート直前のドライバーが最も慎重に、かつ大胆にタイヤを
空転させている。約4m以上もの、タイヤスモークがあがるバーンナウト。
カウル(シャシー)の中は、火事同然、煙モクモク。視界が遮られることもしばしばだとか。
走り抜ける歓び?ドラッグレースへの情熱
BERC DRAGレースは、様々なカテゴリーの車やバイクが走行する。
市販車クラスはチューンナップしたマシンにドラッグスリックタイヤを装着したとは
理解できるが、渡辺選手のようなTA/FC(トップアルコールファニーカー) には、
どうやったら乗ることが出来るのか?どこで購入するのか?など素朴に疑問を投げかけてみた。
20年以上前、アメリカ、カリフォルニアに行った際、たまたま誘われて
本場NHRAドラッグレースを見に行った際、NHRAのヒーロー、ジョン・ホースの走りを見て
衝撃を受けたのだという。元来レース好きであったことともあり、即ドラッグレースの魅力に
取り憑かれてしまった渡辺選手。
すぐさま購入を検討。当時の金額で数千万、実際にジョン・ホースがドライブしていた
チャンピオンカーを手に入れたのだという。
もし、欲しくて仕方がない方は渡辺選手に相談するといいだろう。
試行錯誤の毎日
メカニックも扱ったこともないV8 8,800ccのエンジンが載ったモンスターマシン。
ただ、車があるだけではどうしようもないし練習する場所もない。
アメリカNHRAのDRAG養成所で学んだわけでもなく、独学で購入後、出場できるレースには、
練習を兼ねて参加したのだという。
そして、度重なるエンジンオーバーホールや、セッティングの試行錯誤を重ねていく内に、
日本では指折りのドラッグスターへと成長した渡辺選手とメカニック。
一見、直線を走るだけなので、簡単そうに見えるドラッグレース。ましてやジョン・ホースが
駆っていたチャンピオンマシン。まっすぐ走らせることすら難しい、じゃじゃ馬マシンを
手足のように操ることが出来るようになるまでには、相当な労力と技術の鍛錬が必要だった。





シャシー
総重量は約600kg。うちエンジンが約250kg、カウルが150kgくらいだそうだ。
フルパイプフレーム式の大きなクラッシュに耐えうる剛性を兼ね備えたシャシー。
FR駆動で、意外にホイールベースは短い。
エンジン
搭載しているのは、スーパーチャージャー付き、
クライスラーHEMI V8 8,800ccのお化けエンジン。
3,500ps越のポテンシャルを持つ。直線であれば500km/hは軽くオーバー
するとか。ブローしないよう、最高の環境を保つため、常にメタル交換、
オーバーホールは欠かせない。
カウル
シャシーにかぶせる形のカウル。クラッシュなどにそなえて、シャシーとは
簡単な構造で装着されている。リアタイヤのケムリが全てカウル内にこもるため、
排煙対策も万全。また、扉がないことから、一度カウルを設置すると自らの力
では脱出できないため、天井部に緊急脱出用の穴を設けている。
カウルの後ろには、パラシュートを装備。レバーを引けば簡単に開く仕組みに
なっている。
タイヤ
5回走行しただけで履きつぶれてしまうモンスターマシンの足下は、
フロント・リア共にGOODYEARのDRAG専用輸入タイヤ。
フロントはFRONTRUNNER、23’×5.0-15サイズ。見た目にもかなり小さい。
意外にステアリングの切れ角は大きく、細かに蛇角調整してまっすぐ走らせている。
リアタイヤは、EAGLE DRAGWAY SPECIALで36’×17.0-16というサイズ。
どのレース用のタイヤよりも大きい。
ドラッグレース会場では実際に展示しているので一度ご覧になってみては。
コックピット
3速エアシフター、MAX9,200回転で全開走行ができる仕組みになっている。
実際、BERCドラッグレースが行われている日本のコースでは3速に入れた時点で
終了になるという。ペダルはアクセルとクラッチのみ。
ブレーキは油圧式。サイドブレーキの感覚でレバーを引くタイプ。
エンジンをオーバーレブさせないため、走行中、ただゴールを見ているだけではなく、
メーター類も確実に見ているという。
意外に客席の雰囲気もよく見えているらしいので、渡辺選手が走る際は、
精一杯の応援お願いします。
燃料:ガソリンではなく、アルコール燃料を用いることで、
一瞬の「爆発」を導き出している。



現在、TA/FC(トップアルコールファニーカー)クラスでは優勝を重ね、
また、DRAGコースで数々のレコードタイムを塗り替えてきた渡辺選手。
アメリカのNHRAに参戦オファーを受けた時、かなり悩んだのだという。
もし、自分がアメリカに行ってしまえば、盛り上がりをみせていた日本のドラッグレースの
文化が途絶えてしまう危惧を感じ、大きな大会で世界一になることの目標よりも、日本の
ドラッグ文化の発展へ向けて頑張っていくという道を選択。
夢は「この先も、ずっと日本のドラッグレースが盛り上がっていくよう、
次の世代に歴史を伝承していくこと。」だと、はっきり言い切る。
渡辺選手は、空いている時間であれば、ドラッグレースを見に来る小さな子ども達に、
必ずコックピットに乗せてあげたりしている。
それは、かつてジョン・ホースの走りを見て感銘を受けたあのときの自分と同じように、
次世代の若者達に対してドラッグの楽しさを伝えることが、これからの日本のドラッグ
レース界の将来に役立ち、必ず明日のスターが誕生すると信じ、望んでいるからゆえである。
これからもドラッグレース乞うご期待!
次戦は2008年シーズン最終戦となる、Rd.3 ツインリンクもてぎ(8月17日開催)
真夏の頂上決戦を見逃すな!

