菰田式ウインタータイヤ論

プレミアムスタッドレスタイヤ
「ICE NAVI 7」試乗会より

2017年6月、日本自動車ジャーナリスト協会会長の菰田 潔(こもだ きよし)氏をスペシャルゲストに迎えて「ICE NAVI 7」の試乗会を開催、密着インタビューを行った。日本グッドイヤーのテストドライバーである中島希光と共に、「ICE NAVI 7」のこと、そしてウインタータイヤのこだわりなどについて存分に語っていただいた。

Chapter 1試乗前チェック

スケートリンクの試乗環境について

まず、スケートリンクでの試乗はスペースが限られていますが、どれだけタイヤの性能がわかるのですか?
菰田 潔(以下、菰田)

わかるのはククっていう走りはじめと、クククって止まるところの部分ですよね。そして、スケートリンクの氷のカタチと一般道の氷のカタチが同じかというとそうじゃない。だから一概には言えないんだけれど。

一般道ではどんなシーンが一番近い状態でしょうか?
菰田

スケートリンクは表面が均一です。一般道の状態は千差万別なので、ザラザラした氷から昼間溶けて夕方凍ったツルツルの氷などがあって、その中間的な路面を一箇所テストしているみたいな感覚ですね。

中島希光(以下、中島)

実際の路面は氷とひとくちに言っても様々な路面がありますから、その中の特定の状況を抜き出したものということになりますね。

菰田

このスケートリンクの表面温度は何度かな? 氷の上にタイヤが乗るとその圧力で熱が出て表面が溶けるんです。溶けてもすぐに凍るくらい冷たいとスタッドレスタイヤでもガンガン行けます。表面が0度に近いとクルマが乗っかって溶けた氷が水になってしまい、ハイドロプレーニング現象のように薄い水の膜で滑りやすくなってしまう。温度が低ければ低いほど、実はスタッドレスタイヤにとっては楽なんです。

氷の状態を調べる菰田氏

中島

よくある話ですが、ロシアのマイナス40度とかになる地域では意外と普通の夏タイヤでも走れちゃうんですよ。

菰田

冷凍庫の氷を掴むと手にくっつくのと同じ。溶けた瞬間にまた凍るからくっつくんですね。だから北海道で夜中走っていると結構グリップしているんですよ。太陽が出ているときが一番滑る。

走行コース

試乗車両(手前より)
プリウス タイヤサイズ195/65R15 ICE NAVI 7装着
C-HR タイヤサイズ215/60R17 ICE NAVI 7装着
プリウス タイヤサイズ195/65R15 ICE NAVI 6装着
C-HR タイヤサイズ215/60R17 ICE NAVI 6装着
中島

試乗車には、それぞれ従来品のICE NAVI 6と新製品のICE NAVI 7が装着されています。試乗はまず6に乗っていただいて、そのあとに7に乗るという順番になります。コースはスタートして、まず舵角の大きいスラロームがあります。交差点などの低速カーブのイメージです。ここから時速8kmで走るカーブが2箇所あり、直線になったら徐々に加速をして時速15kmからブレーキングポイントでフルブレーキをしていただきます。奥に1mごとの看板を設けて、何mで止まったというのがわかるようにしてあります。

ICE NAVI 6に乗ってから、ICE NAVI7に乗るんですね。
菰田

ICE NAVI 7に乗るとグリップするので、その感覚でICE NAVI 6に乗ると危ないって聞きました。つまり、それぐらいいいということですね。

コースレイアウトはどうですか?
菰田

コース自体は良いんだけど、スピードが絶対的に低いからね。ただ、ここのコースだと狭くて何回も同じところを通っちゃうから、磨かれたアイス路面になって辛いよね。

中島

実際の路上と考えると、だいぶ過酷な状況になっていますね。例えるなら、アイスバーンの中でも一番磨かれている状態。北海道の交差点でみんながブレーキを踏む場所や、下り坂のブレーキポイントなどに近いですね。

ICE NAVI 7 の性能を学ぶ

コースレイアウトはどうですか?
菰田

ICE NAVI 6からICE NAVI 7になって、トレッドパターンがガラッと変わっている。3本溝から4本溝になって、個人的にICE NAVI 7のほうが好きですね。ICE NAVI 6はタイヤのセンターにまったく接地面がなくて溝があるのがもったいないなと思っていた。今回のICE NAVI 7はセンターに溝がなくてブロックになっていて良かったと思います。

モデルチェンジしてトレッドパターンがこんなに変わるってことはあるんですか?
菰田

少ないですよね。

スタッドレスタイヤの開発方針が変わった?
中島

方針は基本変わりません。やはり一番大切なのは降雪地区でのアイスバーンを念頭にしたアイス性能です。ただ、いろんな手段があるなかで、どうバランスしていくかを検討し、パターンを変えることになりました。ICE NAVI 6は、大きい縦溝が3本とその間を走る細い溝が2本あり、縦溝は5本というほうが実際は近いのかなと思っています。そしてご指摘の通り、ICE NAVI 7ではセンターにリブが1本入っていて、やはりそれは剛性感ですね。ハンドルを切り出していくときの初期レスポンスや手応えなども出したいので、センターに溝ではなくリブを入れました。

菰田

僕は接地圧の分布の中でセンター部分は結構重要度が高いと考えているんだよね。ICE NAVI 6は(溝のせいで)真ん中が抜けてまたショルダーが高くなるW型になっている。そこの一番接地圧が高くなりそうなセンターは溝よりもリブのほうがいいんじゃないかな?

中島

おっしゃる通りです。とくに手応えや制動は間違いなく変わります。ただ、それができたのはセンター部分だけでなく、タイヤの接地形状についてプロファイルを変更したことも関わります。

菰田

切りはじめからクッとついてくる感じはセンターブロックがないとダメなんですよ。やっぱりトレッドパターンが変わったのはすごく大きいと思う。あとはコンパウンドも変わったんですよね。アイスはやっぱりコンパウンドが相当効くから、性能は期待できると思いますよ。

従来よりさらに柔軟性が高い、極小シリカのゴム(エキストラ・コンタクト・コンパウンド)を採用したことで、氷上の細かい凸凹にも高い密着性を発揮。

中島

ICE NAVI 6はどちらかというと四角い形状です。センターにブロックがなくてもそこまでネガは出ないですが、今回は摩耗とかドライでの性能を求めるなかで、ちょっと丸い接地形状にしています。接地形状が丸くなるとセンターのブロックが効いてきますので、今回は大きなブロックを配置したんです。

菰田

ということはクラウンRが小さくなったってことですよね?四角じゃなくて円形の接地形状になると、真ん中の接地圧が高くて、まわりが小さくなるんです。そのほうがコントロール性が良いというか、ドライバーに優しくなる。接地形状が丸く小さいアールなら、上から荷重が掛かってくると端のほうは小さくて、より真ん中が大きくなる。センターにブロックがあれば効くわけです。ICE NAVI 6は接地形状が四角いから、コンタクトパッチが四角くなっちゃう。そうするとグリップは一見良いんだけど、抜けるとスンと滑っちゃう。ICE NAVI 7はコーナリングに入っていくと、だんだん面が移るんですよ。

中島

構造とプロファイルのチューニングにより、ICE NAVI 7のほうがよりショルダーの接地長が長くなって、広い範囲で分担して荷重を受けられるようになっていますね。

菰田

ショルダーの接地長が長くなればグリップが強くなる。

中島

単純なグリップ感も強くなりますし、手応えもしっかりします。結果コントロール性も上がってきます。氷の試乗会なので体感していただくのは難しいのですが、基本的な傾向としては氷の上の0.1Gぐらいでも同じようにはなっていますね。よりICE NAVI 7のほうが手応えもしっかりしていますし、例えば曲がっている最中にステアリングを操作してもそれに対してスッスッと動いてコントロール性も非常に良くなっています。

ICE NAVI 7 を詳しく見る ICE NAVI 7 を詳しく見る

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