清水和夫氏による
Vector 4Seasons Hybrid インプレッション

Vector 4Seasonsは、
マルチに活躍する
“キング・オブ・アスリート”

モータージャーナリストの清水和夫氏に、Vector 4Seasonsを履いたプリウス、そしてベクターが標準装備のプジョー2008GTで高速道路(東北道)、砂地(千里浜なぎさドライブウェイ)を走ってそのインプレッションを語ってもらった。

プリウス篇

豪雪地帯でないなら、
オールシーズンタイヤで十分乗り切れる

オールシーズンタイヤは、日本でも昔からありましたが、性能については中途半端な感じが否めず、ドライ重視だったり、雪上性能寄りだったり、タイヤ銘柄によって特性が違い過ぎていました。アメリカではオールシーズンタイヤは、M+S、いわゆるマッド&スノーとして定着していますが、日本では、地域によっては雪がたくさん降って、厳しい雪道の環境を持っていますから、スタッドレスタイヤのほうが普及してきた背景があります。
しかし、スタッドレスタイヤというと、どうしてもアイスバーンに特化したイメージが強くて、高速道路ではちょっとタイヤの性能が物足りない印象があります。特にドライ路面での走行安定性については速度が高まると、フラフラして不安な面もあります。しかし、雪の降る地域ではサマータイヤのまま過ごすわけにはいかないですし、東京でも雪は降ります。都市部に住んでいてもスタッドレスタイヤに履き替える人は意外に多いと聞きます。そこでオールシーズンタイヤに注目が集まっているわけです。Vector 4Seasons Hybridはそんなニーズにピタリと合うタイヤだといえます。思いっきり雪道を走るのであれば、スタッドレスタイヤがマストですが、首都圏あるいは太平洋側の方なら、豪雪地域ではないですし、各行政が道路インフラを整えていて、路面が凍らない方策を講じていますから、Vector 4Seasons Hybridで十分冬を乗り越えることができるのではないでしょうか。

高速道路での走行

北陸道を走ってみて、サマータイヤとの差異はほとんど感じません。100km/hで走行していても、しっかりとしたステアリングの手応えと、安心感が得られていますね。ドライの路面状況での走行安定性は、十分満足できるレベルです。Vector 4Seasons Hybridとプリウスの相性がとてもいいのでしょう。
このプリウスはPHV=プラグイン・ハイブリッドですので、EVモードにすればガソリンを使用せず、電気だけで60kmぐらい走ることができます。もちろん一般道でですが、エンジンをかけないで走れますし、外部から充電もできますから、条件が整えば1ヵ月間エンジンを始動することなく使うことも可能となります。ですから人が多い街中を、電気だけで走るといったスマートなクルマの使い方もできます。とてもマルチなキャラクターという共通点で、プリウスPHVとVector 4Seasons Hybridとの相性が良いのも納得ですね。さらに、4代目プリウスには4輪駆動モデルがありまして、モーター4駆なのですが、Vector 4Seasons Hybridと組み合わせれば、活動範囲がより広くなると思います。ただし、本格的な雪に備えて、必ず滑り止め、チェーン、あるいはゴムなどでできた滑り止めを緊急用に備えておくべきでしょう。

雨の高速道路での走行

エコカーというと、ちょっと前まで燃費競争をしていましたから、転がり抵抗の低いタイヤが装着されていたのですが、それでなにが犠牲になるかというとウェット性能です。最近は改善されてきましたが、とても気になる部分です。やはりタイヤのファーストプライオリティは安全性。その部分でも、Vector 4Seasons Hybridは優れていますね。安心して走れています。
走っている間に雨脚が強くなってきましたが、路面状況は水溜りができるような酷くなっていませんけれども、ハイドロプレーンの兆候は一切出ませんし、高いウェット性能が安心感に繋がっていますね。

千里浜なぎさドライブウェイ 砂浜での走行

千里浜なぎさドライブウェイは、日本でも数少ない砂浜を走れる有名なスポットです。全長8kmもあって、すぐ横が海という場所ですので、タイヤの性能が問われるところでもあります。雨上がりということで、砂浜はいつもりより柔らかい状況でした。
スタックしているクルマが何台もいる中、Vector 4Seasons Hybridは、トラクションをしっかり感じることができます。ちょっと、強くブレーキ踏んでみます。圧雪路プラスαぐらいの路面状況に近くて、雨の舗装路よりも滑りやすいですが、この直進安定性ならばグイグイ走れる。頼もしいね。折角遠くから来てスタックしては楽しみが半減してしまいますから、Vector 4Seasons Hybridを履いてきて正解でした。

一般道での走行

ノーマルのタイヤと比べて、一般道の印象はすごくステアリングが軽くなった印象があります。車庫入れであったり、Uターンであったり、低速領域でステアリングを深く切り込む状況で、操作が楽になりました。乗り心地については、プリウスPHVの標準装着タイヤと比べて、変化はあまり感じませんでした。高速道路や砂浜において、そのウェット性能の高さは確認することができましたし、オールシーズン対応ということであっても、「どれも中間的な性能の組み合わせ」といった中途半端さではなく、ドライでもウェットでも満足できるレベルで、日常での使用ではとてもバランスの採れたタイヤだと感じました。 

ワインディング走行

一般道ではタイヤが軽くなったなという印象があって、使い勝手が増した感じがして、プリウスPHV本来の乗り心地とほとんど変わらない快適性を提供してくれていましたが、ワインディングでも同様です。
4代目プリウスは新しいプラットフォーム、TNGAを採用しています。ドライビングポジションやダッシュボードの位置だけではなく、当然重心が下がって、ハンドリングがとても良くなりました。しかもPHVということでリアに重いバッテリーを積んでいますから前後の重量配分が最適化されたことも、ハンドリング性能に貢献しているようです。適度にスポーティなフィールは、Vector 4Seasons Hybridに履き換えてもそのままです。重量的にはバッテリーの分、普通のプリウスより重いですが、ロードホールディングをタイヤがしっかりと支えています。もう少しグニュとした感じかなと予想していましたが、想像以上にタイヤのブロックの剛性はしっかりとしています。
コーナーを少しハードに攻めると(制限速度の範囲の中で)、コーナリングGと横Gが大きく発生しますが、それに対応してステアリングを操作すると、しっかりと追従してくれます。直ぐに限界をむかえてタイヤが悲鳴を上げるようなことはないですね。ワインディングにおいても合格点レベルにあります。

プジョー篇

プジョー2008GTでは
Vector 4Seasonsが標準装備

プジョー2008GTは、プジョーが新車装着タイヤとしてVector 4Seasonsをチョイスしています。
2008はプジョーのラインアップモデルで、ちょっと背の高いクロスオーバーSUVというポジショニングですから、ヨーロッパではオールシーズン走れるモデルとしてのニーズがあります。そのためなのでしょう。プジョーはオールシーズン対応のVector 4Seasonsを、メーカー推奨の銘柄として指名しています。

雨の高速道路の走行

雨脚がどんどん強くなった路面上は水捌けが追いつかないほどのハードなウェットコンディションの高速道路を走りましたが、メーカーが選んだタイヤだけあって、とても安定しています。タイヤの接地感が変わらないので、しっかりグリップしている感じが伝わってきます。当然といえば当然ですが、2008GTラインとの相性は抜群です。具体的に言うならば、ステアリングのセンターが「ビシッ」と締まっている感じで安心感が高い。SUVは腰高なため、サルーンに比べると不安に感じる方がいると思いますが、ここまで直進性が良かったら、余裕を持ってドライビングできます。
11月の北陸、しかも雨だと気温が一気に下がって、タイヤや路面の温度が低くなって夏の雨よりも滑るので特に注意が必要です。それでも低温でしっかりとグリップの出るコンパウンドを使用しているのためか急な天候変化にも対応する能力はドライバーを助けてくれますし、心強いです。

ワインディング走行

プジョー2008GTラインに装着されているタイヤは205/50R17サイズですが、プジョーの持っているスポーティなハンドリングはそのまま活かされています。オールシーズン対応ということで、スタッドレスと違って「カチッ」としたフィールがあるので、ワインディングは気持ち良く走れます。ステアリングを切っていった際に、腰崩れするようなところがなくて、サマータイヤのようにスポーティなステアフィールが印象的です。オールシーズンの万能性をあらためて感じることができます。
標準装着しているプジョー2008GTラインではこの軽快感がオリジナルとなりますが、メルセデス・ベンツGLAにVector 4Seasonsをセットしたところ、ステアリングの操作感が軽くなって、乗りやすくなりました。それも特徴のひとつといえます。
ワインディングで見せたスポーツ性、一般道の取り回しの良さや使いやすさ、ウエット路面での安心感や安定感、それでいて雪道まで走れる。タイヤは使用用途によって、一芸に秀でる銘柄が多いのですが、Vector 4Seasonsはまさにマルチプレーヤーです。100mの選手というよりは、 “キング・オブ・アスリート”として称えられる十種競技の選手という感じです。

インプレッション動画 from StartYourEnginesX

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